Xmas night




「メリークリスマス!夜神くん」

「竜崎。なんだその格好は。サンタさん気取りか?」

「いいえ。私は夜神くんだけのサンタクロースです」

「僕は子供じゃないから別に嬉しくないよ」

「では夜神くんがサンタクロースになってください。私はトナカイにします」

「断る。浮かれてクリスマスを祝う気分じゃない。出直してこい」

「せっかく初めてクリスマスを味わえると思っていたのですが……」

「初めて?」

「ええ…しかし夜神くんが嫌がるなら仕方ありませんね。着替えてきます」

「待つんだ!………僕は何も用意していない。それでもいいなら付き合ってあげるよ」

『キラがクリスマスを祝うのか。面白いな。クククッ』



ツリーをLと二人で飾り付けた後、月はケーキを切りわけた。



「ケーキは半分こにしましょう」

「僕は一人分で十分だ。残りは全部食べてくれ」

「では、いただきます」

『好きなもの俺も思う存分食べたいぞ。ライト〜帰ったらリンゴくれーリンゴー』

「………竜崎、今日は泊まってもいいか?」

「!もちろんです。大歓迎ですよ。夜神くんから言われるとは‥‥クリスマスプレゼントですか」

『ウホッ!?』

「さあね。ちょっとトイレ借りるよ」

「どうぞ。ただし、気が変わって帰ると言っても今夜は帰しません」

「はは」



リンゴを欲しがる死神を連れて月は広々としたトイレの便器に腰をおろした。

「リューク、今夜は諦めろ。」

『去年は両手にいっぱいリンゴくれたのに…逆立ちするぞコノヤロー』

「勝手にすれば?ま、どうしても食べたいならサンタさんにでもお願いすればいい」

『サンタさん……』

「死神がサンタクロースを信じるなんて笑えるけど、靴下を吊るしておけば明日の朝にはリンゴが入ってるかもしれないな」

『靴下だな、よし!』





クリスマスの夜を情熱的に過ごした二人が眠りについた後、大きな靴下をベッド脇に吊らした死神は涎を垂らしてサンタクロースを待ち望んだ。
が、朝になっても靴下の中はからっぽのままだった。



「死神がサンタクロースを信じてるなんて傑作だったよ」



家に帰る道すがら、月に笑ってからかわれたリュークは、クリスマスなどなくなればいいといじけた。













04.12.25