earwax






「夜神くん 夜神くん」

「なんだ 流河」

「耳からこんなものが出てきました」

開かれたLの手の平には、小さな塊。

「・・・・・耳垢じゃないか 流河は耳掃除してないの?」

「ここしばらくは忙しくて放っておいたらこうなりました」

「不潔だな 今すぐ耳掃除したほうがいい」

「夜神くんがしてくださるんですか」

「なんで僕が・・耳掃除も自分で出来ないのか?ワタリさんがいるだろう」

「夜神くんが耳掃除してくださらないのなら・・この耳垢投げ付けますよ」

「汚いからやめろ!」

「・・・・・・・・・」

「こっちに向けるな」

『くくくっ 準備して投げる気満々だな こいつ』

「あと5秒待ちます 5・4・3・2・1!」

「分かった・・気は進まないけど掃除してあげるよ」

「お願いします ワタリが用意した耳掃除セットを使ってください」

「ん 流河 ここに頭のせて」

「はい」

「・・・・・・・・・・・・・」

「夜神くん くすぐったいです」

「動いちゃダメだ 傷付けてしまうから大人しくしていろ」

「・・・・・・膝枕は気持ちいいものですね」

「そう?・・・・・じゃ反対側向いて」

「はい」

「掃除し甲斐はあるけど不衛生だからこまめに綺麗にしたほうがいいよ」

「夜神くんが私の耳掃除をしてくれれば助かります」

「甘ったれるな 流河は自分でもっと身の回りのことをするべきだ」

「耳掃除は以前自分で挑戦してみましたが流血沙汰になったので私は耳掃除はしないと決めてます」

「ワタリさんが傍に居るからしてもらえば済むだろう・・・はい 終わったよ」

「・・・・・・・・」

「流河?」

「もう少しこのままで・・」

「重いからどけるんだ」

「嫌です」

動かないLを、ライトは強引に腿の上から落とした。

「流河!・・・・僕のズボンに涎を垂らしたな・・・!」

「傍目にはお漏らししたみたいに見えますね」

「ふざけるな!僕はこれから家に帰るんだぞ」

「すみません 脱いでください すぐに洗わせます」

「・・・・・・」

「どうしました? そのまま帰ったらお母さんや妹さんに誤解されかねませんよ」

「粧裕には誤解されたくない・・・・綺麗にして返すんだ いいな流河」

「もちろんです ワタリ 夜神くんのズボンを大至急頼む」

「かしこまりました」

「流河 下だけパンツ一丁だと恥ずかしいから何かないのか」

「必要ないでしょう」

「! なに触ってる・・」

「せっかくですから」

「くっ・・・・・・・うっ」

下着姿の無防備なライトを、ズボンが綺麗に仕上がるまでLは翻弄し続けた。






「耳掃除してやったのに流河のやつ・・恩を仇で返しやがって」

『俺には涎がお漏らしに見えて傑作だったけどな くくくっ』

「・・・・リュークは当分 リンゴ禁止だ!」

『えっ!?・・・・・なんでいつも俺ばっかりーーー!!!』

嘆く死神に、ライトは不遜な微笑を返しただけだった。






『誰か俺にリンゴくれ〜〜〜』





04.08.18