the game of "rock-paper-scissors"





「夜神くん　野球拳知ってますか？」

「ああ　じゃんけんで負けた方が服を脱いでいくくだらないゲームだろ」

「私はぜひ夜神くんと対決したいと思ってます」

「僕はしたいと思わない」

「負けるのが恐いですか？」

「まさか」

「では戦いましょう！」

「勝つ自信はあるよ　しかし僕はあんな野蛮なゲームは・・」

「では負けた者は勝った者の命令を一つ聞くという条件を付けます」

「僕が勝てば流河が言うことを聞くんだな？・・・いいだろう」

「さっそく始めましょうか　ワタリ！」

「はい　それではこのワタリが審判兼立ち合い人を務めさせていただきます」

「・・・準備がいいな」

「私はじゃんけん強いですよ」

「ふっ　僕は小学生のときジャンケン大会で優勝したほどの男だぞ　絶対に僕が勝つ！」

「お互い真剣勝負といきましょう」

「それでは両者とも準備はよろしいですね？　第一回野球拳大会を開催します」

「第一回って・・最初で最後です」

「私は何度でも構いませんよ」

二人の戦いは熾烈を極め、ライトが白ブリーフ一枚、Ｌがズボンを残して佳境に入った。

「夜神くん　次で決めます」

「くっ・・・・」

「それでは第六回戦スタート！〜〜〜アウト！　セーフ！　よ・よいのよいっ！！！」

Ｌ、ライトともにパーであいこ。

「よ・よいのよいっ！！」

Ｌがチョキ・ライトはグー。

「勝者　夜神様ーーー！」

「よし！」

Ｌはもそもそとズボンを脱いだ。

「流河・・・また下着はいてなかったのか・・？」

「はい　ゲームオーバーです」

「あ　ああ・・早くズボンをはけ」

「第一回野球拳大会　勝者は夜神ライト様ですっ　おめでとうございます！」

「どうも」

「参りました　夜神くん私に一つ命令してください」

「そうだな　一日でいいから流河はお菓子禁止！」

「！　しかし私は甘いものを摂取しないと落ち着かなくて禁断症状が出ます」

「紅茶に砂糖を入れて飲むのは許可してあげるよ」

「・・・・・・」

「ワタリさん　お茶にしましょう」

「かしこまりました」

「お菓子は僕の分だけで構いませんから」

笑顔を浮かべてライトは釘を刺した。

「ワタリ・・・！」

「坊ちゃま　負けたからには勝者の言うことが絶対でございます　では少々お待ちを」

野球拳で脱いだ服をいち早く着用したライトは、一人掛けのソファに座りふんぞり返った。

「流河　君も座るといい」

「・・・・・・・」

のろのろとＬがソファに体育座りをしたところで、ワタリがお茶とケーキを運んで来た。

「こちらが夜神様の紅茶とショートケーキになります」

「おいしそうですね」

「坊ちゃまには紅茶を　お砂糖はご自分で好きなだけどうぞ」

「・・・・・・」

Ｌは親指を咥えてライトがケーキを食べるさまをじっと見つめた。

「おいしいですか？」

「ああ　柔らかいスポンジと生クリームが口の中でとろけて広がるんだ　もう一つ食べたいくらいだ」

「・・・・・・・」

「流河　涎垂れてるぞ」

「夜神くん　その残ったイチゴをください」

「流河は食べちゃダメだと命令したはずだけど？」

「イチゴはお菓子じゃありません　いいでしょう」

「ワタリさん　イチゴだけ流河に持ってきてやってください」

「違います！私はケーキに乗ったイチゴが食べたいんです」

「おいおい流河　我がまま言うんじゃない」

「そのイチゴください・・」

「しょうがないな」

イチゴをフォークに刺したライトはＬの口元へ差し出した。
目を輝かせてＬが食いつこうとしたその時。
無情にも、イチゴはライトの口におさまっていた。

「夜神くん・・・意地が悪いです」

「だれもあげるとは言ってないだろう　あはは」

Ｌを引っかけたライトは上機嫌でイチゴを咀嚼した。


さらに目を据わらせたＬに襲い掛かられるまでの間、ライトは勝者の甘い味に酔い痴れていた。


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16.じゃんけん（野球拳）
04.07.02