measure L's height
「流河 ちょっと立ってみて」
「何ですかおもむろに」
「いいから ほらっ」
「・・・・・・・」
「きちんと背筋伸ばして」
「はぁ・・・」
「頭を起こして!」
「こうですか?」
「ああ そのままの姿勢を保って回れ右」
「注文の多いことで・・・」
「ぶつぶつ言う前に体を動かすっ」
「・・・・・・・」
背を向けたLの背中にライトは自分の背を合わせた。
「や 夜神くん・・・?」
「ワタリさん どうですか」
「身長は若干ですが坊ちゃまの方が高いようです」
「・・そうですか」
「身長なら私の方が高いですよ」
「ワタリさん! 腰の位置は?」
「夜神様の方が高い位置にあるように思います」
「どうも」
「腰の位置がなにか?」
「ふっ 身長はたとえ流河の方が高くても僕の方が足は長いってことさ」
「夜神くんはスタイル抜群ですね」
「感心してどうする・・・」
「私は自分の姿形は気にしませんから」
「それにしても毎日同じ服装で飽きないのか?」
「かえって落ち着きますよ 夜神くんも着てみますか?」
「・・・なんだ この手は」
「着替えをお手伝いします」
「いや 遠慮しておくよ」
「恥ずかしがらなくてもいいですよ ペアルックです」
「ペア・・って絶対に嫌だ! 流河とお揃いなんてっ」
背後から器用にシャツのボタンを外すLの手から逃れようと、ライトは抵抗した。
「ワタリ!着替えを用意しろ」
「! ワタリさんを使うなんてずるいぞ」
「ワタリは私の味方です 観念して大人しくしてください」
ライトにも同居人としての味方である死神はいるが、存在を明かせない使えない味方ではどうしようもなかった。
二人がかりで無理矢理L風に着替えさせられたライトは眉間にしわを寄せた。
「夜神くん 似合ってます」
「お二人で並ばれるとペアルックも引き立って素晴らしゅうございます」
「褒められても嬉しくない 僕の服を返してください」
「今日はこのまま過ごしてください」
「新手の嫌がらせか・・? 着心地はいいかもしれないが気分は最悪だ」
嫌がりながらもライトはその日、Lの部屋に泊まった。
「夜神くん 背比べはもう済みましたし ナニ比べをしてみませんか?」
「なに比べ・・? 言ってる意味がよく分からないよ流河」
ナニ比べについてLから説明を聞いたライトは、Lに軽蔑の眼差しを送った。
比べるのを諦めた素振りで、ライトのナニをLは今夜じっくり観察することにした。
『俺も比べてみてえー』
自信のある死神の一言は、ライトの一睨みで無かったことにされた。
「流河っ じろじろ見るな!」
「・・・・私の勝ちです」
「ん 何て言った・・?」
「いえ そのままでいてください」
翌日、Lの服を着て帰って来たライトを見て、母・幸子は驚愕の表情を顔に浮かべた。
自分の部屋に入ってすぐに着替えたライトは、洋服を仕舞って二度と着ることは無かった。
一方、ライトの服を隠しておいて手に入れたLは、大切なライトコレクションにその服を加えたのだった。
「ライトの匂いがする・・・」
服に顔を埋めて匂いを嗅ぐLを、ワタリは傍らで見守っていた。
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9.背比べ(座高比べ)
04.06.30