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 度数の高い酒入りのチョコをワタリに仕込ませておいたLは、箱を開けてライトに差し出した。
「この中に一つだけウィスキー入りのチョコがあります 選んでみてください」
「ふーん 面白いな 僕はこれにする」
「では私はこちらで」
 勘で決めた一つを手に取ったライトは自分のベッドに座り、見た目には普通のチョコに見えるそれを口に含んだ。
ライトの食べる様子を凝視した後、Lも自分の分を口に入れる。
「!」
「私が食べたのは普通のチョコです」
「・・・ウィスキー入り・・・僕が当たりだ」
「おめでとうございます」
 負けず嫌いなライトは、数の少ないウィスキー入りを射止めた自分が勝ちだと主張したが、実際は二十個中Lが選んだ一つ以外のすべてにウィスキーが仕込まれていた。これまでの調べで酒を一滴も飲んだ試しがないライトが、どう変わるのか期待しながらLはライトの様子に目を光らせた。ライトに憑いている死神・リュークは笑いながらベッドに腕をのせ頬杖をついて見物している。
「流河 こっちへ来い」
「はい」
 命令された通りにライトが長い足を組んで座っているベッドへ歩いていくと、ここに座れと言わんばかりに、ポンポンとライトは自分の隣を叩いた。
ライトから招き寄せるのは珍しい。
Lはいつもの体育座りで空いた場所に収まる。
親指を銜えて横に視線をやると腕を組んで平然と前を見据えるライトの姿があった。
「夜神くんはお酒強いんですね」
「さあ お酒を口にしたのは初めてだから・・・」
「どこかいつもと違うところはありますか?」
「体が内側から熱くなっているように感じるけど僕は平気だ」
 少し火照り出してはいるらしいと知ってLは嬉々としてつれない想い人を覗き込んだ。
「夜神くん 暑いなら服を脱いだらどうです?手伝いますよ」
「結構だ 流河に手伝われてもロクなことにならない」
「・・・それは残念です」
 期待したほど酔ってはいなかったらしく、Lの提案は冷静なライトに一蹴された。
「じゃ 流河は母さんが用意してくれた布団で寝てくれ」
「私は夜神くんとベッドで寝るから布団は要らないと言ったはずです」
 ライトの家へ押し掛けて初めて泊まることになったLは、ライトのベッドで二人一緒に眠れると思っていたしそうするつもりでいた。
親指を噛んで不満な気持ちをアピールするが、ライトは目もくれず床の一点をじっと見つめている。
こちらを向いて欲しくて、シルク地のパジャマの裾を引っ張るが反応は無かった。
「夜神くん」
「・・・・・・」
「夜神くん!」
「ああ なんだ?」
「ボーっとして・・・大丈夫ですか?」
「別に そろそろ寝よう」
 ベッドの先に座るLに構わずにライトは自分のベッド布団に潜った。
ベッドの横に敷かれた布団は見なかったことにして、Lはライトの隣に滑り込む。
ライトは怒って追い出す素振りもなく、無関心だ。
普段なら嫌がって拒絶するなり何かしらの反応を返す。
それが面白くてちょっかいを出すのだが、今のライトは違和感を覚えるくらい大人しい。
Lは体を起こして様子を窺った。切れ長の目は開いているが、ライトはどこか遠くを映している。
「・・・夜神くん」
 呼びかけてもピクリとも動かない。二、三度繰り返しても無反応なライトの体を揺する。
「夜神くん・・・ライト!」
 名前を呼んだ瞬間、止まっていたライトがLの方へ振り向いた。
ライトはLが着ているパジャマのボタンを慣れた手付きで外しだした。
泊まる用意はしていなかったLが身に着けているのはライトの父・総一郎から借りたパジャマ。
積極的なライトに内心驚きながらもLは相変わらずの無表情でライトの動きを目で追った。
前をはだけてLの体をまさぐったライトはおもむろにパジャマのズボンをLの下着ごとずらすと、中心を自らの口に含んだ。
「! 夜神くん・・」
 Lがライトのモノを口で弄ることはあったがライトからLのモノに触れて、その上口に入れるなどありえないことで、ひどく混乱する。
温かい粘膜に包まれて敏感な部分を舐めとられ、Lは腰を浮かせた。
ライトの表情は見えない。
プライドの高いライトがあの綺麗な顔で自分のモノを口に咥えていると思うと、さらに欲望を刺激されてしまい、またたく間に限界が近付く。
「夜神くん・・もう・・・」
 

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「まるっ」のL月←松田話の最初の辺りを一部抜粋しました。
この後、途中からはまるっと月視点でシリアス風味を醸し出している・・はずです。
本の方では、縦書きで改行ももっと少ないです。(オン用に改行を多用しました。)