夜半から降り続けた雪は白く、街全体を覆った。









3年L組 ヅライト先生!! 〜雪が降った日・編〜




空調の行き届かない寒い廊下を急ぎ足で抜け、教師・夜神月は教室への扉を開いた。

「今日はやけに少ないな 6人しか来てないじゃないか
 松田先生まで遅刻するし困ったクラスだな 一時間目は自習にする」
「先生ー!せっかく雪が積もったんだしみんなが来るまで外で遊びませんか?」
「弥 遊ぶことばかり考えてないで期末頑張らないと卒業危ないよ?」
「えっ!?そんなに・・」

釘をさされたミサは、さすがに落ち込んだ。
茶髪に眼鏡の生徒が手を挙げる。
「先生 僕も雪の中を駆け回りたいです」
「珍しいな三堂がそんな提案するなんて・・・では多数決をとる 外で遊びたい者は手を挙げて」

六人のうち、三堂、アイバー、ミサ、そしてリュークの四人が手を挙げた。

「一時間目は外で自由にしててくれ 先生は職員室から見ておく」
「先生も一緒に外へ行きましょう」
「はは 僕は寒いのは苦手だから遠慮しておくよ」
「一緒に来ないなら・・・バラしますよ?」

いつもの脅し文句に、ヅライトはLの言葉に渋々従った。


校庭には、一面の雪。
薄着のLはマフラーと手袋をして雪玉を作り始める。
留学生のアイバーも真似をして雪玉を作っていたら攻撃されて応戦。
二人の雪合戦を、両腕を組んで寒そうにして教師は眺める。
あの二人は仲が良い、勘違いをしながら。

毛糸のパンツとマフラーを身に纏ったリュークはリンゴを雪に埋め、冷やして食べるのを繰り返す。
担任の傍に近付こうとしたミサに雪の塊が飛んできて顔に命中した。
「きゃっ!・・・竜崎くん・・・!」
怒ったミサは強かった。

外で遊ぶことを提案した三堂は、奈南川の冷えた首にそっとマフラーを回した。
振り払うこともなく、静かに佇んでいる奈南川に三堂の顔が綻ぶ。

クラスの親睦にはちょうど良かったかもしれないと、傍観しながらヅライトは思った。


それぞれの春は、まだ遠いようだ。






冬編・完。(3年L組)







「ーというお話しです どうですか夜神くん」
「どうですかじゃない!!なんだヅライトって?! ひとをおちょくるにも程がある!」
「この脚本と夜神くんの演技力ならバカデミー賞も夢ではありませんよ」
「馬鹿なのは竜崎だろう とにかくそんなくだらない話しには付き合わない」

渡されたシナリオを置いて立ち去ろうとしたが、鎖に阻まれる。
ちっ。舌打ちしてそっぽを向いた。

「何をそんなにイライラしているんですか 私の出番が多いのが気に食わないんですか」
「ふん 別に竜崎のコマ数が多いとかアップが多いことなんて僕は気にしていない!」
「・・・そうですか」


これは相当気にしているようだと、察したLは月の手を取り、ベッドへと引きずり込んだ。





おしまい。

アルカロイド内部へ。